この資料は、ケーライブの入社時研修で受講するものの一部(2科目)です。
研修目的(なぜこのテーマで研修を行うのか)
私達が行っている業務は、介護保険法と障害者総合支援法に基づいています。他の介護保険サービス(通所、施設など)の現場ではあまり馴染みがありませんが、私たちの行っている「訪問介護(ホームヘルパー)」事業では、どちらも日常的に関わりのある制度、お客様です。ヘルパーとしての資格的にも、提供できるサービスの内容的にも似たところがありますが、このふたつには実は様々な違いがあります。
ここでは専門的な知識よりも、実務で実際に必要になる事を中心に見ながら、理解を深めてください。
目標(本日の研修で達成する事)
- 法の理解を深める。
- ヘルパーの基本的な知識を身に着ける。
- 自分たちが提供しているサービス、対象者について理解する。
- 介護保険制度と障害者総合支援法の違いについて理解する。
1-1『介護保険法の基本理念』
第一章 総則 (目的)
第一条
この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理 その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及 び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健 医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。 ポイント“尊厳の保持と自立支援”
尊厳の保持とは・・・ 自分らしさ、その人らしさ等と言い換えると理解しやすいでしょう
1-2.実際にサービスを利用するには・・・要介護認定
| 被保険者 | |||
| 第1号被保険者 | 第2号被保険者 | ||
| 被保険者の条件(保険料を納めているだけ、サービスは使えない) | ・65歳以上
・その保険者に住所を有するもの |
・40歳~65歳未満
・その保険者に住所を有するもの ・医療保険加入者 |
|
| 申請、認定(サービスを利用したい時) | 上記の条件を満たしていれば、申請できる。 | 16の特定疾病(特定疾病が無ければ申請できない) | |
| (1)申請 | 要介護(要支援)認定申請書を介護保険課へ提出(資料1※研修時には、八戸市の申請書を資料としています) | ||
| (2)認定調査 | 調査員が自宅、病院等を訪れて面談調査、調査票を作成(資料2※認定調査票) | ※一次判定 | |
| (2)病院受診 | 申請書に記載した病院を受診、医師は意見書作成(資料3※主治医意見書) | ||
| (3)二次判定 | 介護認定審査会で審査 | ||
| (4)介護認定 | 要支援1、2 要介護1~5 または非該当
この段階で初めて要介護者等(サービスの利用可)となる |
||
○実際に介護保険のサービスを利用するためには、上記の図の順に沿って認定を受けなければなりません。
・病気の重さは関係ない
・介護度には要支援1、2 要介護1~5まであるが、申請時は選ぶことは出来ない(例・自分は重度だと思うから介護で申請します、または軽度だと思うので、支援で申請します。といったことは不可)。
・介護認定には有効期間があり、サービスを継続したい場合は更新申請をする必要がある。
・認定の有効期間中でも、状態が変わった場合、区分変更申請ができる。
・上記2つとも手順は新規申請(まとめの表)と同じ。ただし区分変更申請の場合、申請しても必ずしも介護度が重く出るとは限らない。
1-3.訪問介護事業所・訪問介護員について
○訪問介護事業所では必ず「管理者(資格要件なし)、サービス提供責任者、訪問介護員」を配置しなければなりません。
○サービス提供責任者とは・・・サービスの利用調整(お客様、家族への連絡、アセスメントの為の健康状態などの情報収集)、訪問介護計画書の作成、訪問介護員に対する指示、配置、研修の実施など。

1-4.サービスの利用の流れ・・・(介護課程)
| きっかけ | 身体状況、生活環境等の変化により自宅で暮らしにくい状況が発生した(病気の後遺症、独居になった等) |
| 申請 | 家族、本人が地域包括支援センター等へ相談、申請 |
| インテーク | ケアマネジャーが家族、本人等と相談しサービスの選択。事業所(ケーライブ)へはケアマネジャーから依頼が来ることが殆ど。極まれに家族などにより直接相談される場合もある。 |
| 依頼の受託 | 利用調整(訪問できる曜日、時間等)、お客様の情報収集(フェースシートの作成)、アセスメントシートの作成(どの様にサービスを提供するかを考える) |
| 契約 | 重要事項の説明、契約(重要事項説明書、契約書)、サービス担当者会議(本人、ケアマネ、家族、ケーライブ、他事業所) |
| 説明 | アセスメント実施、それを基に訪問介護計画書の作成・本人へ説明、同意を得て交付。 |
| 実施 | サービス実施、モニタリング(観察)。ケアマネや他事業所、家族への報告など連携。 |
| 評価 | 短期目標期間終了時に計画書の目標を達成したかどうかの判断。(必要に応じて)ケア内容見直し、計画の修正。 |
2-1.障害者総合支援法について
訪問介護(ホームヘルパー)事業所では必ず障害サービスを提供している(できる)、という事ではありません。ケーライブでは「介護保険法による訪問介護事業」の申請〜指定を受けている他に、「障害者総合支援法による居宅介護・重度訪問介護・※移動支援」の申請~指定を得ているので障害をお持ちの方にもサービス提供ができます。ですから、他のヘルパー事業所では介護保険のヘルパーのサービス提供のみ行なっている、という場合もあり得ます。
2-2.障害者とは
・身体障害・知的障害・精神障害・難病 の4つ(+児童)に分類されます。※因みに・・・徳川九代将軍家重は、脳性麻痺だったと言われています。
2-3.サービスを受ける(利用する)までの流れ
申請・障害をお持ちの方は障害者手帳を持っていますが、手帳を持っているだけでは障害サービスを利用できません(例外有)。
サービスを利用するためには、
①八戸市の場合には「障がい福祉課」へ利用申請を行い、
②区分の認定を受ける必要があります(介護保険サービスの場合の「65歳以上でも被保険者であるだけで、申請して認定を受けなければサービスを受けれない」と同じように考えればわかりやすいと思います)。※区分は「1〜6」までありますが、児童の場合には区分はなく「児童」と認定されます。
③認定・利用が認められれば「受給者証」が交付されます。
ここでも介護保険制度との違いがあります。
介護保険制度の場合は、認定を受けて被保険者証が交付されればケアプランにより介護度に応じてサービスが利用できますが、障害サービスの場合は申請したサービスの内容についてのみ利用が認められます。
つまり「自宅で入浴が困っているので、ヘルパーを利用したい」との申請の場合、自宅でのヘルパーについての利用の認定(身体介護)のみがなされるという事です。入浴後、浴室の掃除や脱いだ衣類の洗濯を依頼したいのであれば、その家事行為(家事援助)についての申請も必要になります。
2-4.サービス内容
○居宅介護・・・ケーライブで現在、一番依頼が多いのが身体障害の方の居宅介護です。身体、知的、精神障害者が対象。従業者の要件は介護保険制度と同じ。
身体介護、家事援助、通院介助(身体介護を伴う)、通院介助(身体介護を伴わない)、通院等乗降介助
◯重度訪問介護・・・重度の肢体不自由または重度の知的障害もしくは精神障害があり常に介護を必要とする方が対象。居宅介護の指定と同時に受けることができる。よって従業者の要件も同じ。
◯同行援護・・・視覚障害により、移動に著しい困難を有する方の外出の介助。個別の従業者の要件あり。※ケーライブでは未実施。
◯行動援護・・・知的障害または精神障害により行動上著しい困難を有する方の外出の介助。個別の従業者の要件あり。※ケーライブでは未実施。
※移動支援・・・屋外での移動が困難な障害のある方について、外出のための支援を行います(同行援護の対象にならない方が対象)。従業者の要件は居宅介護と同じ(=介護保険制度と同じ)。
| サービス | スタッフの資格要件 |
| 居宅介護、重度訪問介護 | 介護保険と同じ(初任者、介護福祉士等) |
| 同行援護 | 同行援護従業者(一般、応用) ※基本的に青森市のみで取得可 |
| 行動援護 | 行動援護従業者、強度行動障害支援者(基礎、実践) ※青森市、八戸市等で実施 |
| 移動支援(地域生活支援事業) | 介護保険と同じ(初任者、介護福祉士等)※地域によって異なる |
2-5.具体的なサービス依頼のパターン
介護保険サービスの場合であれば、ほぼケアマネジャーからの依頼という事になりますが、障害サービスの場合も基本的には相談支援専門員(介護保険のケアマネとほぼ同義)からの紹介が多いです。
2-6.その他、介護保険サービスとの併用などについて
・基本的には介護認定を受けた方は、介護保険サービスの利用が優先となりますが、併用もできます。その場合、基本的には介護保険サービスには無いサービスのみ利用が認められることになります。
例)重度訪問介護+介護保険での訪問介護や、同行援護+介護保険での訪問介護など
・障害サービスには福祉用具のレンタルはありません。購入のみです。
・八戸市では「訪問入浴、住宅改修、バス・タクシー券の補助」が受けられます。
3.身体介護、生活援助、通院等乗降介助
・ヘルパーのサービスには身体介護と生活援助(家事援助)、通院等乗降介助(俗にいう介護タクシー。ケーライブでは未実施)があります。また通院等乗降介助と介護タクシーは別物です。
| 身体介護 | 生活援助(居宅介護では”家事援助”) | 記録(請求)時の略称 | |
| 介護保険 | 基本30分きざみ(20分もあり) | 45分未満、45分以上 | 身体1(=30分)
生活2(45未満)、生3(45以上) |
| 居宅介護 | 30分きざみ | 30分以上から15分刻み、1時間30分上限 | 身体0.5(=30分)
家事0.5(=30分) |
| 通院等介助 | 30分きざみ | 30分きざみ | 通院(身体伴う)0.5 |
| 重度訪問介護 | 最低45分以上から | 重訪1.0など1時間きざみ | 特殊なため、省略 |
| 総合事業 | 独自Ⅰ(週1回程度)
独自Ⅱ(週2回程度) 独自Ⅲ(週3回程度)※身体、生活(家事)の区分なし |
基本、月の定額払い(サブスク) | |
4.最後に・・・
障害のサービスは制度的に介護保険法と似ているところもありますが、当然違うところもあり別物です。
そのため、最初は戸惑う事も多々あると思います。
またサービスの対象者の年齢も幅広く、サービスを利用するに至ったきっかけも先天性の障害のためであったり、事故がきっかけとなった方であったりと様々です。
そのため戸惑う事もあるかもしれませんが、いかなる場合でも私たちは「訪問介護員(ヘルパー)である」という気持ちを忘れないでいただきたいと思います。そのために他の研修でも学びを深めていきましょう。

