9.プライバシーと個人情報の保護

この資料は、ケーライブの入社時研修で受講するものの一部(9科目目)です。 

研修目的(なぜこのテーマで研修を行うのか)

私たちの行っている業務上、お客様のプライバシーと個人情報のどちらも大切でしっかりと守らなければいけないものだという意識を持つ。

目標(本日の研修で達成する事)

  • プライバシーと個人情報の違いを知る。
  • どのような場合にプライバシーや個人情報が漏れやすいか、しっかりと把握し自分たちがそのような事態を引き起こさないようにする。
  • 漏えいした場合、お客様だけでなく、会社に大きなダメージとなる事を理解する。

個人情報

「個人情報」とは、本人の氏名、生年月日、住所などの記述等により特定の個人を識別できる情報のことです(客観的な情報)。

但し、場合によっては名字だけ、名前だけでも個人情報となりえる場合があります。

また最近では写真などの画像についても、個人を識別できる状態で撮影されていれば個人情報として取り扱われるようです。

ここでは具体的に、身近な事例を用いて説明を加えています。 

例)珍しい苗字のため、タクシーに乗った際に苗字を名乗ると家まで帰れる、等。

プライバシー

「プライバシー」には「個人や家庭内の私事・私生活。個人の秘密。また、それが他人から干渉・侵害を受けない権利。」(小学館「大辞泉」より)という意味があるほか、最近では、「自己の情報をコントロールできる権利」という意味も含めて用いられることがあります(主観的な情報)。

 

ケーライブ(介護事業所)でのプライバシー、個人情報

ケーライブの様な介護事業所では、お客様の個人情報やプライバシーは「簡単に、しかも詳細に知ること」ができます。なぜか?

皆さんご存知の通り、サービスの提供に必要だからです。

例えば普段は独居の人でも、入院などの場合には必ず家族の支援が必要になります。

その際、スムーズに連絡が取れるよう、遠方のご家族などの連絡先を確認しています。

その情報の中には「勤め先、遠方の息子(娘)さんの家族の情報」なども含まれています。

※因みに・・・そのような情報を「サービス提供に必要なもののみ取得しますので、同意をお願いします」という内容で、個人情報の提供の同意も契約時に頂いています。

また、お客様本人の生活歴、趣味嗜好、病歴などもアセスメントの際にも重要な情報となりますので、プライバシー・個人情報の両面にわたり、詳細に聞き取り、ファイルへ保存してあります。※詳しくは介護過程もご覧ください。

個人情報が漏えいするよくある三つのパターン

このように、私たち介護の現場ではお客様の詳細なプライバシー・個人情報を知りえるわけですから、しっかりと保護しなければなりません。

しかし、特に介護の世界でこれが漏えいするのが、次にあげる三つのパターンの場合です。

コンビニの駐車場で置き引きされる。

このパターンは、時折、ニュースなどで報道があります。

しかしこのパターンは、あくまで「バッグ等の中身(財布)」を狙っているため、個人情報を目的としていない事がほとんどです。

そのため、後日バッグが見つかったであるとか、記載されていた情報の方に被害は生じていないという事が多いようです。

世間話

例)あなたはAさんというお客様に訪問していますが、そのすぐ近所のBさんのお家にも訪問しています。ある日、Bさんがあなたに言いました。

「私はもう生きているのが辛い。自分の体が思うようにならなくて、家族には迷惑をかけているし、娘も仕事も決まらずにいつも家にいてばかり。孫も冷たいし・・・」

その言葉を聞いたあなたはBさんを何とか励ましたいと考えました。

「そんな事言わないでBさん。近所のAさんて人、知ってるでしょ?あの人のとこ大変なのよ!息子さんは○○○だし、孫さんは学校も行かずに○○だし、Aさん本人だって○○で●●で・・・でもAさんは「自分がしっかりしなければ、子ども達が大変だから」って一生懸命リハビリ頑張って、歩けるようになって・・すごく前向きなのよ。だからBさんも頑張って」

後日、Aさんの家族とBさんの家族が家の前でばったり会って、世間話をしているとあなたの話が出てきました・・・

このパターンはヘルパーの善意から起きた行動と言えるかもしれません。しかし、だからこそミスを犯していることに気づきにくいとも言えます。

懇親会などで

会社で忘年会が開かれることになりました。

大いに盛り上がり、仲の良いメンバーで二次会、三次会と進み、お酒も進んでいました。

そこで困難ケースのお客様の話になり、少々行き過ぎた発言がありました。

忘年会から何日か経ったある日、そのお客様のご家族から会社にクレームの電話が入りました・・・

プライバシー・個人情報が漏えいした際に起こること

個人情報等の漏えいについては「社会福祉士および介護福祉士法」第46条(秘密保持義務)や「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」第33条(秘密保持等)でも罰則などが定められています。

また上記の3つの例でも分かる通り、会社としてマイナスイメージでしかありません。

まとめ

罰則があるから、ではなくあなたがご家族のために介護事業所を利用する事になった時、単純に上記の様なヘルパーには来てもらいたくないのではないでしょうか。

関係法令で厳しく定められているから、だけではなく、人としての倫理観をしっかりと持つことで、適切な運営ができるよう、心がけましょう。